熱中症予防(子供編)
前回は高齢者は暑さを感じるための皮膚感覚や、
喉の渇きを感じるためのセンサーの衰え、
体内の深部温度の上昇に対処するための自律神経によるコントロール機能の衰え、
さらには筋肉量の減少による体内の貯水機能の衰えなどにより、
一般成人よりも熱中症にかかりやすいということをお伝えしましたが、
小学校に上がるまでの乳幼児もまた一般成人よりも熱中症にかかる確率が非常に高いのです。
通常乳幼児の体重の70~80%は水分でこれは一般成人の60%よりも多いので、
この数字だけを見れば、
「何だ、これだけ体の中に水分があれば熱中症にかかるわけないじゃないか」と思うかもしれません。
しかし乳幼児は成長過程にあるのでエネルギー代謝の過程で多くの水分を必要としています。
このため体の中の水分がどんどん消費されるのです。
さらに汗腺(汗が出てくる皮膚にある器官)が未熟なので、
暑い時にすぐに汗をかき始めたり体の水分が減ってきたら汗をかくのを止めたりするタイミングが遅れます。
そのため体の水分がすぐに減少してしまいます。
さらに一般成人の場合は腎臓で産生された尿は排出される前にほとんど再吸収されて体内に戻されますが、
乳幼児の場合は腎臓の機能が未熟なので産生された尿の再吸収が十分できずに、
尿として体外へ失われてしまう可能性があります。
また乳幼児は、
体重あたりの不感蒸泄(皮膚や呼吸の呼気から無意識のうちに排出されている水分)が一般成人よりも多くなるので、
これによってもまた多くの水分が失われていきます。
あと乳幼児は自らの意思で水分摂取ができないために水分摂取のタイミングが遅れ気味になります。
そのため乳幼児の場合もまた高齢者と同じく、
周囲の人々がこまめな水分補給を促す必要があります。